CHAPTER 05
立ち上げ 90 日ロードマップ — 0→1 の手順
2026 年 6 月 19 日 / 橋本 周平
エンプラ BDR の立ち上げで、最初の 90 日は「商談数」を追ってはいけません。なぜなら決裁プロセスが 6-12 ヶ月の業界で、3 ヶ月で商談数 KPI を達成するには質を犠牲にしたアプローチが必要になり、後から市場摩耗のツケが回ります。
本章では「母集団作り + 接触開始 + 観測サイクル確立」を 90 日で固める標準ロードマップを解説します。
FIGURE 5-1
90 日タイムライン — 月間アプローチ数とマイルストーン
青バー = 月間アプローチ数。Day 30 まで母集団定義のみで接触ゼロ、Day 60 までパイロット 50 人/月、以降フルスケール 100 人/月 (延べ 130 件)。
Day 1-30: 母集団定義と初動準備
Week 1: ターゲット決定
- 商材と相性の良い業種 3-5 を選定 (第 2 章)
- 規模バンド (50-300 人推奨) を決定
- 狙う部署 2-3 と役職レイヤー 3 を確定
- 初期母集団の目標サイズ N=300-600 名を確定
Week 2-3: 企業リサーチ
- 200-400 社の企業リスト作成
- A/B/C ランク付け (親和性)
- 1 社あたり 3-5 名の人物リサーチ
- 連絡先 2 経路以上確保 (= 電話 + メール最低)
Week 4: 運用基盤整備
- BDR CRM 設定 (HubSpot / Salesforce / LOGOTORU OS)
- 5 指標 (会話成功率 / ネガ率 / 残存率 / 商談化率 / 市場 NO シグナル率) と健全性スコアの集計仕組み
- レイヤー別メッセージのドラフト 3 種
- 手紙テンプレート + 印刷会社契約
Day 31-60: 実接触開始と KPI 観測
Week 5-6: パイロット (月 50 件)
いきなり月 100 件は無理。最初の 2 週は 50 件で試運転。CXO 30 通の手紙 + 部長級 20 通のメール。
Week 7-8: フルスケール開始 (月 100 人)
パイロットの学びを反映し、フルスケール。対象は月 100 人前後で、延べ接触はチャネル配分 (手紙 30 / メール 50 / 電話 30 / LinkedIn 20) の月 130 件。上限は人数 (実人数) で、チャネル別の量は件数 (延べ) で数えます。
KPI 観測のスタート
Week 5 から週次で 5 指標を記録。最初の 1 ヶ月はサンプル数が少ないので参考値。LOGOTORU OS も当月アプローチ 30 人未満の月は判定保留にします。
Day 61-90: 月次レビューと修正
Week 9-10: 初回月次レビュー会議
第 7 章のアジェンダで実施。5 指標を中央値 (付録 A) と比較し、判定 (続ける / 変える / 一旦退く / 判定保留)。
Week 11: 調整実行
レビューで「変える」(ADJUST) になった場合、黄・赤の指標についてセグメント・メッセージ・量を調整。手紙の文面、メールの切り口、電話のスクリプト、いずれかを 1 つ変える。
Week 12: 3 ヶ月目のロードマップ確定
Day 90 時点で「次の 3 ヶ月」を確定。母集団拡張 / セグメント追加 / チャネル組み合わせの修正計画。
90 日終了時の到達目標
- 母集団 300-600 名のリスト稼働
- 月 100 人 (延べ 130 件) の接触ペース確立
- 5 指標の週次観測ルーチン
- 会話成功率 12% 以上、ネガ率 20% 未満 (緑) を達成
- 商談化 1-3 件 (= 早すぎず、観測の証跡として)
90 日でやってはいけないこと
- 商談数を KPI に置く: 90 日では 1-3 件が現実、これを 10 件目標にすると無理筋接触で摩耗
- 業種を増やす: 「全業種で試す」は摩耗最速パターン
- 月 150 人超: 1 人あたりのリサーチが追いつかず質が落ちる (運用上の目安。当社データでは、150 人を超えた月の翌月に会話成功率が下がる明確な差は出ていない)
- 5 指標を月次でしか見ない: 週次で見ないと信号が立った時点で気付かない
90 日後の運用は第 6 章 (KPI) と第 7 章 (月次レビュー) で詳しく扱います。