WHITE PAPER|2026

13,144 件の接触ログが
示した 6 つの事実

エンタープライズ BDR における「粘る回数・手紙の間隔・温度・役職レイヤー・時間帯・受付の固さ」。複数プロジェクト横断の観測記録です。

接触ログ (件)
13,144
電話接触した担当者 (名)
1,229
本人と会話が成立 (名)
531
観測軸
6

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6 つの事実。

01

1 回目で諦めるのは早い。ただし 9 回目から明確に落ちる

会話成功率は 1 回目 5.6% に対し 4 回目が 7.1%。8 回目まで 5% 台を保ち、9 回目で 3.5% へ。以降 3% 台から戻らない。

02

手紙は「発送後 3 日以内」に電話すると刺さる

3 日以内の架電は会話成功率 31.1%。手紙なし (14.6%) の 2.1 倍。4 日以上空けると 19% 台に落ちる。

03

初回会話の「温度」は、その後の商談化を予言する

温度 3 以上は 12.5% が後に商談化。温度 2 以下は 397 名中 3 名 (0.8%) で、約 15 倍の開きがあった。

04

役職が上がるほど繋がらない、という単調な関係はない

会話が成立しやすいのは課長層 (34.0%)。執行役員 10.4%・取締役 8.1% と中間で谷になり、社長層は 42 名試して 0%。

05

架電が集中する時間と、会話が成立する時間はズレている

量のピークは 15〜16 時。会話成功率は午前 (10〜11 時) が 8% 台に対し、13 時台 3.6%・17 時台 4.6%。

06

受付の固さは業種で 3 倍違う

代表番号への架電で、受付ブロック率は化学 18.0% に対し機械 5.6%。一律のリスト戦略を取る合理性は薄い。

観測データについて。

集計対象は、BDR 支援プロジェクトの現場で記録された実際の接触ログです。オペレーターが 1 件ずつ、架電・手紙・メールの結果を同一の定義で入力したもので、アンケートや自己申告ではありません。

集計の範囲

接触ログ総数
13,144 件
電話接触した担当者 (直近 6 ヶ月)
1,229 名
本人との会話が成立した担当者
531 名
対象
エンタープライズ向け新規開拓
業種分類
東証 33 業種

主要な指標の定義

会話成功率
本人と会話が成立した割合。受付での取次ぎ拒否・不在は含まない
受付ブロック率
代表番号への架電のうち、受付・代表窓口で取次ぎされなかった割合
温度
会話時の反応を 5 段階で記録した値。1 = 拒否 / 2 = 防衛 / 3 = 興味 / 4 = 協力 / 5 = 共感
商談化
後日、実際に商談の場が設定されたこと

発見 5・6 は電話チャネルのみを対象としています。メール・手紙を混ぜると、時間帯や受付の性質ではなくチャネル構成の差を測ってしまうためです。

サンプル数が足りない区間は、結論を書かない。

母数が判断に足りない区間について結論を出しません。件数ベースは 30 件、人数ベースは 10 名を下限とし、下回る区間は「観測中」と表記しています。

なぜこれを最初に書くのか。現場では「3 件やってダメだったから、この業種は無理」という判断が日常的に下されます。3 件では何も分かりません。逆に、十分な母数で観測された 0% は強い根拠になります。どこからが「分かった」なのかを先に決めておくことが前提です。

本稿が主張しないこと

  • 因果関係 — すべて観測された相関・差分であり、統制された実験ではありません
  • 普遍性 — 特定の商材・リスト・体制の下での観測であり、あらゆる BDR に一般化はできません
  • 個社情報 — 複数プロジェクトの合算値のみ。企業名・担当者名・個別実績は一切含みません

何回目まで粘る価値があるか。

1 回目で諦めるのは早い。4 回目が最も会話になりやすく、8 回目まで水準は落ちません。一方、9 回目から会話成功率は 3% 台に下がり、そこから戻りません

図 1. 接触回数ごとの会話成功率
接触回数 会話成功率 接触件数
1 回目 5.6% 2,543
2 回目 6.0% 2,105
3 回目 6.0% 1,692
4 回目 7.1% 1,427
5 回目 6.9% 1,162
6 回目 5.8% 959
7 回目 5.4% 738
8 回目 5.6% 611
9 回目 3.5% 452
10 回目 3.8% 367
11 回目以降 3.1% 1,088

出典: 接触ログ 13,144 件 (全期間)。有効会話件数 ÷ 接触件数。

「粘ると嫌われる」は観測されなかった。

粘ることの最大のリスクは、相手に明確に拒絶されることです。しかし拒否率は接触回数を重ねてもほとんど上がらず、7 回目以降はむしろ 1% 前後まで下がりました。撤退の判断は、拒絶の増加ではなく会話成功率の低下で見るべきだと言えます。

図 2. 接触回数ごとの拒否率 (図 1 と同一の母集団)
接触回数 拒否率 接触件数
1 回目 1.5% 2,543
2 回目 1.4% 2,105
3 回目 1.1% 1,692
4 回目 1.7% 1,427
5 回目 1.6% 1,162
6 回目 1.5% 959
7 回目 0.9% 738
8 回目 1.1% 611
9 回目 1.1% 452
10 回目 0.5% 367
11 回目以降 0.6% 1,088

出典: 同上。明確な拒絶が返った件数 ÷ 接触件数。

解釈の注意。 回数を重ねられた担当者は、そもそも現場が「繋がる見込みがある」と判断した相手であり、脈のない相手は途中で対象から外れています (生存者バイアス)。図 1 の後半は「粘れば上がる」ではなく「粘る価値のある相手が残っている」と読むのが正確です。9 回目の落ち込みは、その選別を経てなお成果が落ちる水準を示します。

手紙を送ったあと、何日後に電話すべきか。

手紙の効果は「送ったかどうか」より「発送から何日後に電話したか」で決まっていました。

電話の前に手紙を送っていた担当者 201 名と、手紙なしで架電した 1,028 名を比較すると、会話成功率は 23.9% 対 14.6%。ここまでは「手紙は効く」という一般的な理解と一致します。しかし 201 名を発送から初回架電までの日数で分解すると、別の像が現れます。

図 3. 手紙の発送から初回架電までの日数別 会話成功率
発送 → 架電 会話成功率 対象人数
3 日以内 31.1% 90
4〜7 日 19.4% 31
8〜14 日 観測中 (母数不足) 7
15 日以上 19.2% 73
手紙なし (参考) 14.6% 1,028

比較基準: 手紙なし (素撃ち) の水準 14.6%

出典: 直近 6 ヶ月・手紙送付が先行した 201 名。手紙なし群は比較用の参考値。

運用への落とし込み

手紙の発送日を起点に、3 営業日以内の架電をシーケンスに組み込む。発送リストと架電リストを別管理にしない。

解釈の注意 ① — 手紙の送付先は決裁層を狙って選定されたリストであり、手紙なし群とは母集団が異なります。23.9% 対 14.6% をそのまま「手紙の効果」とは呼べません。ただし 201 名の内部で日数別に比較した 31.1% 対 19.4% は選定バイアスの影響を受けにくく、こちらが本章の主眼です。

解釈の注意 ② — 起点は発送日であり到着日ではありません。到着日数は地域・郵送方法で変動します。8〜14 日区間は 7 名と母数不足のため判断を保留しています。

初回会話の「温度」は商談を予言するか。

予言していました。温度 3 以上は 12.5% が後に商談化。温度 2 以下は 397 名中わずか 3 名 (0.8%)。約 15 倍の差です。

本人と会話できた際の手応えを 5 段階の「温度」として記録しています。この主観値が、後の商談化という客観的な結果をどれだけ予測できていたかを検証しました。検証にあたっては初回会話でその場でアポイントが取れたケースを母集団から除外しています。即アポは予言ではなく結果そのものであり、含めると自明な循環になるためです。

図 4. 初回会話時の温度別 その後の商談化率
初回会話の温度 その後の商談化率 対象人数
温度 1 拒否 0.0% 145
温度 2 防衛 1.2% 252
温度 3 興味 11.4% 79
温度 4 協力 15.1% 53
温度 5 共感 観測中 (母数不足) 2

出典: 全期間・本人と会話が成立した 531 名 (初回即アポは除外)。

温度は連続的に効くのではなく、温度 2 以下と温度 3 以上の間で約 10 倍の段差が生じています。「防衛的だが話は聞いてくれた」相手と「興味を示した」相手は、まったく別の母集団でした。

実務上の含意

  • 温度 2 以下の 397 名を追い続ける期待値は極めて低い。この工数は温度 3 以上の 132 名の深掘りか、新規リストの開拓に振り向けたほうが合理的です。
  • 温度の入力を省略した接触は、この判断材料を永久に失います。入力コストは数秒ですが、失われるのは「どこに投資すべきか」の根拠そのものです。

解釈の注意。 温度は主観でありオペレーターごとの基準差を含みます。また高温度の相手には現場が優先的に再接触した可能性が高く、「温度が高いから商談になった」のか「高いと判断したから丁寧に追った」のかは分離できません。

どの役職層に、電話は届くのか。

「上に行くほど繋がらない」という単調な関係はありませんでした。会話が成立しやすいのは課長層 (34.0%)。一方、社長層は 42 名試して 0% でした。

図 5. 役職レイヤー別 会話成立率
役職レイヤー 会話成立率 対象人数
担当層 19.8% 491
係長層 (参考値) 16.7% 12
課長層 34.0% 53
部長層 20.9% 301
執行役員層 10.4% 154
取締役層 8.1% 99
副社長層 17.0% 100
社長層 0.0% 42

出典: 直近 6 ヶ月・レイヤー登録のある接触担当者。

3 つの読みどころ

  • 01

    課長層が最も届く (34.0%、53 名)。決裁への距離と、電話に自ら出る確率のバランスが最も良い。「決裁者ではないから」と軽視されがちな層が、実際には最も対話が成立する入口でした。

  • 02

    執行役員層 (10.4%)・取締役層 (8.1%) で谷になる。秘書・受付の防御が最も機能する帯であり、電話での正面突破は他の層に比べて 2〜4 倍の非効率を伴います。

  • 03

    社長層は 42 名に接触して会話成立ゼロ。「繋がりにくい」のではなく「電話では繋がらなかった」。副社長層が 17.0% で届いているのと対照的です。

社長層への到達を目標に置くなら、電話の試行回数を増やすのではなく、手紙・紹介・イベントなど別の経路に切り替えるべきです。42 名分の架電工数は、その判断材料として十分な観測量と言えます。

解釈の注意。 レイヤーは役職名からの自動分類を含むため、企業ごとの役職呼称の差が影響しえます。係長層 (12 名) は母数が小さく参考値です。社長層の 0% も、42 名は「電話が有効でない」ことを強く示唆しますが、不可能性の証明ではありません。

架電している時間と、会話が成立する時間。

会話成功率は午前 (10〜11 時) が 8% 台。対して 13 時台 3.6%・17 時台 4.6%。しかし架電量が最も多いのは 15〜16 時です。量のピークと質のピークがズレています。

図 6. 時間帯別 会話成功率 (平日 5 日分を合算)
時間帯 会話成功率 接触件数
10 時 8.1% 298
11 時 8.5% 484
13 時 3.6% 197
14 時 5.8% 479
15 時 5.9% 592
16 時 7.7% 621
17 時 4.6% 455

出典: 直近 6 ヶ月・平日の電話接触 3,126 件。右列の接触件数が、その時間帯に投じた量です。

観測された傾向

  • 午前が最も刺さる。10 時 8.1%・11 時 8.5%。次いで 16 時 7.7%。
  • 13 時台が最も低い (3.6%)。5 曜日中 4 日で最下位圏に入る。
  • 17 時台も 4.6% と低い。1 日の最後に件数を積みに行く時間帯が、最も会話にならない時間帯のひとつだった。
  • 量は 15 時 (592 件)・16 時 (621 件) に集中。一方、率が最も高い 10 時に投じているのは 298 件と最少。

解釈の注意。 時間帯別の集計は件数ベースであり、同一人物への複数回接触を含みます。また業種構成が時間帯ごとに均一ではないため、時間帯そのものの効果と、その時間に架電されがちな業種の効果は分離できていません。曜日 × 時間帯まで分解すると 1 セルあたりの母数が小さくなるため、単一のセルに賭けられる水準ではありません (PDF 版に曜日別の内訳を掲載しています)。

受付の固さは業種で 3 倍違う。

代表番号への架電で、受付ブロック率は化学 18.0% に対し機械 5.6%。同じリスト戦略・同じチャネル配分をすべての業種に適用する合理性は薄いと言えます。

代表番号への架電のみを分母に、受付や代表窓口で取次ぎされなかった割合を業種別に集計しました。直通・携帯への架電は受付を経由しないため、含めると「受付の固さ」ではなくチャネル構成の差を測ってしまいます。

図 7. 業種別 受付ブロック率 (代表番号への架電のみ)
業種 受付ブロック率 接触件数
化学 18.0% 305
輸送用機器 12.7% 55
食料品 9.4% 32
電気機器 7.5% 67
サービス業 6.8% 502
小売業 6.6% 457
機械 5.6% 71
繊維製品 観測中 (母数不足) 20
ゴム製品 観測中 (母数不足) 18
倉庫・運輸関連業 観測中 (母数不足) 20

出典: 直近 6 ヶ月・代表番号への電話接触。母数 30 件未満は「観測中」。

受付が固い業種ほど直通番号・携帯番号の取得や、手紙・紹介といった代替経路への投資が先に必要になります。逆に取次ぎが通りやすい業種で同じコストをかけるのは過剰投資です。一律のアプローチ設計を敷いている場合、この差は静かに工数を浪費し続けます

受付の固さの帯ごとに、先に打つべき手をまとめた設計指針
受付の固さ 業種の例 先に打つべき手
固い (12% 超) 化学 (305 件) 直通・携帯の取得、手紙先行を前提に設計
中位 (7〜13%) 輸送用機器 / 食料品 / 電気機器 母数が薄く継続観測。まず件数を積む
通りやすい (7% 未満) サービス業 / 小売業 / 機械 代替経路への追加投資は優先度が低い

解釈の注意。 繊維製品・ゴム製品・倉庫運輸は代表番号への接触が 20 件前後と下限に届かないため、上表では扱っていません。中位帯の 3 業種も母数 32〜67 件であり、断定できるのは化学と下位 3 業種の差だけです。

経験則を、観測に置き換える。

並べた 6 つの事実に共通するのは、いずれも現場で語られてきた経験則と部分的に食い違っていたという点です。

よく言われることと、実際に観測されたことの対照表
よく言われること 観測されたこと
粘ると嫌われる 拒否率は上がらない。落ちるのは 9 回目からの会話成功率
手紙は効く 効くのは発送後 3 日以内に架電したときだけ
夕方は捕まりやすい 17 時台は最低水準。午前のほうが会話になる
上位ほど繋がらない 課長層が最も届く。谷は執行役員・取締役

商材が違えば数値は動きます。重要なのは個々の数値そのものではありません。本質は、これらの問いが「意見」ではなく「観測」で答えられる状態にあることです。何回目で落ちるのか、何日空けると効かなくなるのか、どの層に届いていないのか。これらを毎月、自分たちのデータで確認できるかどうかが、BDR を運任せの活動から再現性のある投資判断に変える分岐点になります。

この 6 つの数字を、そのまま真似しないでください。

4 回目・3 日以内・課長層・13 時台 — これらは特定の商材とリストの下で観測された値であり、貴社の境界線ではありません。持ち帰るべきは数字ではなく、6 つの問いです。

自社データで出すべき 6 つの境界線

接触回数
何回目から会話成功率が落ちるか
手紙の間隔
発送から何日以内なら効果が残るか
温度
どの温度から先が商談に繋がるか
役職レイヤー
どの層に電話が届いていないか
時間帯
量と質のピークがどれだけズレているか
業種
受付が固いのはどの業種か

他社の数字を運用に持ち込むリスク。「4 回目が最も効く」を鵜呑みにして 4 回で切ると、自社では 6 回目まで水準が保たれていた場合、機会を捨てることになります。逆に「9 回まで粘る」を採用して、自社では 5 回目から落ちていた場合、その分の工数は市場を消耗させるだけに終わります。

境界線は商材・価格帯・リストの質・オペレーターの練度で動きます。本稿の数値は「こういう問いを立てると、こういう形の答えが出る」というフォーマットの例として使われたい。

答えそのものは、貴社の接触ログの中にすでにあります。

NEXT STEP

自社の境界線を、6 項目で観測しませんか。

本稿の集計はすべて、BDR 運用のための判断基盤「LOGOTORU OS」に蓄積された接触ログから得られています。一般的な営業ツールが接触量の最大化を支援するのに対し、 市場からの拒絶シグナルを累積で監視し、一定ラインを超えると新規接触を止める機構を中核に持ちます。リストを焼き尽くしてから撤退する従来の BDR が、その市場での将来の機会まで失っている — という問題意識に基づく設計です。

「止めどきが分からないまま、リストを使い切ってしまった」という経験があるなら、止める基準を持つことから始められます。

自社の数字を同じルールに通すなら 3 分の無料診断 もご利用いただけます (メールアドレス不要)。

  • 本稿の数値は、特定期間・特定条件下での観測結果であり、将来の成果や他社における再現性を保証するものではありません。
  • すべての数値は複数プロジェクトを合算した集計値です。企業名・担当者名・個別プロジェクトの実績など、個社を特定しうる情報は一切含んでいません。
  • 本稿に記載された差異は観測された相関であり、統制された実験に基づく因果関係の証明ではありません。各章に記載した交絡要因の注記とあわせてご参照ください。
  • 本稿の内容を引用される場合は、出典として発行元および発行時期を明記してください。
発行
リレーションシップ合同会社
発行日
2026 年 8 月
データ取得日
2026 年 8 月 22 日
プロダクト
LOGOTORU OS
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