CHAPTER 02

母集団の定義 — 業種 × 役職 × 規模で N=300-600

2026 年 6 月 19 日 / 橋本 周平

エンプラ BDR の成否は、最初の「母集団の定義」で 7 割決まります。本章では、攻める対象を 300-600 名に絞り込む 4 軸の切り方と、リスト作成の実務手順を解説します。

なぜ 300-600 名なのか

月 80-130 人のアプローチ (BDR 1-2 名体制) で 4-8 ヶ月一巡できる規模が 300-600 名です。これより小さいと 3 ヶ月で枯渇、これより大きいとリサーチコストが見合わない。

企業数で言えば 100-200 社 × 1 社あたり 3-5 名 = 300-1,000 名。「企業数 × 役職レイヤー × 部署」の積で考えます。

FIGURE 2-1

4 軸の積で母集団を絞り込む

業種 3-5 × 規模バンド 部署 2-3 × 役職 2-3 N = 300-600 名 200-400 社 1 社 3-5 名 攻める母集団

4 軸の絞り方

軸 1: 業種 (Industry)

最初に「自社の商材が刺さりやすい業種」を 3-5 業種に絞ります。例: 情報・通信業 / 機械 / 銀行業 (LOGOTORU OS は東証 33 業種で集計します)。業種ごとの摩耗パターンは第 8 章。

軸 2: 企業規模 (Size)

従業員数で 50-300 / 301-1000 / 1001+ の 3 段階。LOGOTORU 自身の受注実績 (当社 HubSpot の商談記録) では 50-300 人規模が Win rate 最も高く、1001+ はほぼ全敗です (詳細は第 10 章ケーススタディ)。

軸 3: 部署 (Department)

自社商材の決裁部署を 2-3 部署に絞る。「IT 統括」「営業企画」「経営企画」など。「全社員ターゲット」は NG (リサーチ工数が爆発)。

軸 4: 役職 (Layer)

Layer 3-8 から 2-3 レイヤー選ぶ (番号は LOGOTORU OS の区分: 課長 3 / 部長 4 / 執行役員 5 / 取締役 6 / 副社長 7 / 社長 8):

  • Layer 5-8: 役員層 (執行役員〜社長。戦略賛同を取る)
  • Layer 4: 部長級 (実質決裁者)
  • Layer 3: 課長級 (ユーザー視点の評価者)

3 レイヤー揃えると 1 社あたり 3-5 名 = 100 社で 300-500 名の母集団。

リスト作成の実務手順

  1. 企業リスト作成: 業種 + 規模条件で 200-400 社を抽出。社内 CRM / 外部リスト購入サービス / 公開人事情報のリサーチを組み合わせる (LOGOTORU 提供時は OS 側で母集団定義を支援)。
  2. 企業優先度ランク付け: A (自社事業との親和性 高) / B (中) / C (低) の 3 段階。A を 1.5 倍重み付けする運用。
  3. 人物リサーチ: 各社で 3-5 名の対象を特定。LinkedIn / プレスリリース / 役員紹介ページから氏名・役職・部署。
  4. 連絡先取得: 代表番号 / 部署番号 / 直通電話 / メール / LinkedIn。最低 2 経路確保が原則。
  5. 温度の事前推測: 過去の業界カンファレンス登壇歴 / SNS 発信 / 公開インタビューから「課題感を発信している人」をマーク。

よくある失敗

  • 業種を絞らない: 「全業種で月 200 件」は摩耗最速パターン
  • 企業数を増やし役職を 1 つに絞る: 1 社 1 名は決裁プロセスの中で必ず壁にぶつかる
  • エンプラ大手 (1001+) に偏る: Win rate 低い、母集団小さい、摩耗早い
  • 「いつかは欲しい」企業を残す: 直近 6 ヶ月で商談化可能な企業のみで母集団を構成

母集団の見直しタイミング

設計した母集団は 3 ヶ月ごとに見直し。残存率が 50% を切ったら (LOGOTORU OS の赤信号) 補充、ネガ率が 30% 以上 (赤) の月が続いたらセグメント差し替え検討。

比較の基準にする中央値は 付録 A (当社 5 テナント 39 ヶ月の実データ) を参照。